クラウドソーシングの国内最大手「クラウドワークス」の代表取締役社長CEO 吉田浩一郎氏は、ご自身のブログで、「当事者意識を持て」という言葉は、「組織の持続性」という観点から見れば、今の時代にあわなくなってきたと指摘します。
そこで今回は、吉田氏の考える組織論について、わかりやすく解説してみたいと思います。
20世紀的な「長期に保証された枠組み」の効果が急速に縮小
日本の労働に関する状況は、
・2018年段階で65歳高齢者が4人に1人を超えている
・人口減少により国内市場は2020年をピークに縮小
・全労働力のうち48.9%が既に正社員以外の労働形態へ
・個人にとっての報酬源の多様化
となっており、不確実性の時代における組織戦略が求められていると吉田氏は指摘しています。
「目標を達成したらあなたは認められる」は時代遅れ
クラウドワークス内で調査したところ、部下から慕われるマネージャーの共通点は、
「あなたが自分で考えたあらゆる手段を実行できる状態をサポートします。」というスタンスだったそうです。
また、目標達成よりも各個人がワクワクして自分の考えで動くことの方が大事で、その結果、自然と目標は達成されるという考え方をしていたそうです。
従来の管理方法では「組織の持続性」に悪影響
吉田氏は「目標へ向かう時に、社員一人一人レベルでのKPI管理のみに「手段を固定化し、全員を管理すること」は、成果をあげることはできるが、組織の持続性の点で疑問が残ると考えています。 」と指摘します。
手段を固定化しているがゆえに「メンバーの体験を魅力的なものにしていない」可能性があるというわけです。
「当事者意識を持て」は、メンバーの思考を否定するニュアンスを含んでいる
「当事者意識を持て」という言葉は、「当事者意識を持つと幸せになれるが、当事者意識を持たないと幸せになれない」という条件付きの承認になっている。
今の時代は未来が不確実である以上、現在という時間軸で今のメンバーを承認、肯定するマネジメントが求められていると吉田氏は指摘します。
アジャイル型組織とは?
アジャイルとはもともと、「俊敏」「機動性のある」を意味する言葉で、
アジャイル型組織とは、市場の変化に素早く対応ができる組織のことをいいます。
そして、吉田氏がアジャイル型組織を作る上で重要だと指摘する要素は、
・メンバーへ「当事者意識を持て」と伝えて意識を引き上げるのではなく、
・メンバーを承認し、自由を与えて力を引き出し、結果として「当事者意識を持っている」状態を導く
というもので、この組織戦略が情報の流通が早い現代における組織の持続性という観点でも有効であるといいます。
まとめ
いかがだったでしょうか?
「当事者意識を持て」という言葉を日頃から使っている方は「耳が痛い」ことと思います。
あるいは「自分で考えろ」という言葉を今まで何度も使った方もいるかもしれません。
でも、その言葉の裏には、自分の思い通りにコントロールしたいという意図が見え隠れするものです。
古き良き日本企業の忖度文化もこのあたりに深く根付いているのかもしれません。
採用情報に「風通しのいい会社」とか「働きがいのある会社」と書いてある企業はたくさんありますが、求職者が考えている良い職場とは、アジャイル型組織の会社なのかもれません。参考になれば幸いです。